転職失敗→半年で会社辞めた31歳ダメ人間の徒然。

某大手IT企業を8ヶ月で辞めて無職になった男に明日はあるのか。

デザインを学んで決定的に変わったこと。

一昨年の秋から春にかけて、社会人向けのデザインスクールに通っていた。

 

理由としては、

①今の仕事で結構デザインのディレクションみたいなことを求められるので、その辺りの知識を体系的に学んでおきたかったこと。

 

②自分の商売の方の幅とクオリティをあげたかったこと。もともとフォトショップは多少使えたのだが、別のスキルを学んでいた際にかじった程度だったので、イラストレーターと合わせてしっかりと習得する機会を持ちたかった。

 

③もともとデザインとかアートとか、そっち方面に憧れがあった笑

 

同じコースで学んでいた同級生は20人くらいで、ほぼ全員が20代中盤〜30代前半の社会人たったが、バックグラウンドは、大手企業で営業やってる人から理学療法士、エンジニアまで様々。

プロのデザイナーへのキャリアチェンジを目指している人、アート系の事業部への異動希望など、仕事に活かしたい人がそれぞれ4分の1、特に仕事には関係ないけどデザインに興味があって、という人が半分くらいだったように思う。

 

毎週土日のどちらかの朝9時から夜19時まで半年間、学費は50万円と、時間的にも金銭的にも安くはない投資だったし、たった半年でプロレベルのデザインができるようになったわけでもなかったが(当たり前…笑)、結論からいえば行って非常に良かったと思う。

 

今も同じ会社で、当時の仕事を発展させたような仕事をしているので、まずAdobeのデザインソフトを一式使えるようになったことは大きな収穫だった。

 

デザイナーに依頼しなくとも、商品デザインのイメージの方向性の7割くらいまでは自分で作り上げられるので、クライアントとデザインを決めるスピードが他のスタッフの5倍ぐらいは速い。

商談の場でイラレを開いてあーだこーだ言いながらその場で作っているのだから当たり前である。

 

だが、それ以上に大きかったのは、いわゆるExcelパワポで「資料」を作る際に、デザインの視点が入ったことである。

 

あくまでも個人的な考えになるが、「視る側がどれだけアタマを使わずに理解できるか」を追求することが、デザインという概念だと考えている。

つまり、パッと見てスラスラ読める資料はデザイン的に優れているし、読んでもどこが大事か、何が言いたいかをわからないような資料、そもそもどういう順番で読んだら良いのかわからない資料はデザイン的にもダメということになる。

 

そういう視点からみると、自分が過去に作ったものも含めて、自社やクライアントが出している資料の「よろしくない点」を感じるようになったのだ。

 

●赤黒青緑黄色と、一枚のスライドに多数の色が盛り込まれていて目がチカチカする

●下線と太字が使われすぎていて何が大事かさっぱりわからない

●各ページのレイアウトが統一されておらず、どこから読んだらいいか毎ページごとに考えなければならない

●フォントのサイズがぐちゃぐちゃ。

●意味もなく枠で囲まれていたり背景に色が入っていたりする

●無理やり図で説明しようとして右左上下矢印が入り混じったよくわからない説明図になっている

 

など。一言でいうと「コテコテ」なのである。余計な情報が多すぎる。

 

例えば色であれば、Webページを作成するときは写真などを除くベースの色は極力3色までに抑えるようにすべきと言われるが、紙媒体でも基本は同じだろう。

極論グレースケールでも十分わかりやすい資料を目指すくらいでちょうどいいのかもしれない。

色を選択する際にも色相環の考え方を知っていると強調する際にも便利だろう。

 

グラフィックデザイナーは(Webデザイナーは別)、あるデザインを見て、プロとアマかは文字の間の幅の「文字詰め」がしっかり意識して調整されているかを見れば一瞬でわかるらしい。

そのくらい文字間の間隔の取り方は大事なのであるが、この考え方があれば、むやみやたらに下線を引いたり枠をつけたりしなくても、重要ポイントを強調したり、必要な要素を分割して見せることは可能だ。

 

読み手の目線の動きを意識していれば、どのようなレイアウトで見せるべきかや、読みやすい言葉の表現も推敲するだろう。

 

おそらくだが、ある程度経験を積んだビジネスマンの資料はコテコテになる傾向がある。関連する情報を、アレも入れようこれも入れようとして、あらゆる情報を詰め込むからだ。

 

だがデザインの考え方はおそらく逆だ。

この資料ではコレを伝えるべき、と決めて、それに不必要と思われる要素や情報はできる限り削いでいく。見せ方のことを考えていくと、当然内容も絞るべきところが見えてくる。

 

さすがにはっきりと先輩やクライアントの資料にダメ出しをしたり手直しをすることは無いし、正直資料の内容が分かっていなくても分かったふりをする人が大半なので汗、資料がわかりやすい云々の直接的な評価をもらえることは少ないが、明確に効果は出ていると感じている。

 

それは会議やプロジェクトの進み方にじわじわと反映されている。

 

半年間全く資料が通らず進捗しなかった現地スタッフの同僚のプロジェクトが、私が手直しを入れた瞬間に動き出したこともある。

上記の考え方を用いて、資料のロジックを整理して、その流れに不要な要素は全て資料から削除させた。

本人が一生懸命調べてきた情報だし、不満が無いわけではなさそうだったが、結局は結果が出て感謝された。

 

まして今は外国人と仕事をしている。言葉だけで全てを理解してもらうことは非常に難しい。

ビジュアル的に理解できる資料が、仕事を進める上で日本以上に重要な役割を占めている。

 

 

当時、それぞれが作ってきたポスターやパンフレットなどの作品を前に、全員でここは良い、ここは改善できるとアレコレ議論した経験が今になって生きている。