前職のチームのリーダー、直属の上司は、僕が入社して3ヶ月、
試用期間が終わった直後に退職した。
1年半足らずの在職だった。
40歳前後で、新卒でグローバル企業に入社、
4年間法人営業として働いた後に自分で会社を立ち上げ、
その後別のベンチャー企業でも営業を統括するマネージャーとして活躍し、
ヘッドハントに近い形で入社された、優秀な方だった。
当時の僕は自分自身でも入社後のギャップに苦しみ、
この会社で働き続けることで何を得られるのか、何になれるのか、
自問自答の日々を送っていた。
1年もやらず、何も成さずにに辞めたくはないという気持ちと、
心身が摩耗しきらないうちに次の道を選ぶべきという考えの間で葛藤していた。
だから、二人きりで話すタイミングで聞いてみたのだ。
元上司が1年半勤め上げてどうだったのか。何を得たのか。
今この瞬間なら、本当の本音が聞けると思ったから。
彼は開口一番に言った。
『奴隷みたいだった』と。
元上司も、次の就職先を決めずに辞めていた。
会社の強い引き止めもあり、戻ろうとすれば戻れただろう。
だが、そのようなつもりは一切無さそうだった。
それが、僕が辞めることを決断した決定的な出来事だったように思う。